【諸江史耶】『情報』しか得られないレッスンには何の価値もない

どの業界でも起こっていることですが、特に、日本は人口が減り続けているので、基本的にあらゆるものの売上が下がっていくと言えるでしょう。人が減るのだから、売り上げが下がることはすごく自然なことです。

ピアノ教室、音楽教室業界も、全く人ごとではありません。

ただ、自然なことだからといって流すわけにはいかなくて、当然、その業界に身を置いている人は、何かしらの対策はしなくてはいけません。

これは『がん』のようなもので、ピンポイントで原因を潰さなければいけないのですが、その時、そのがんが大腸がんなのか、肺がんなのか、はたまた胃がんなのか、原因の箇所を明らかにしなければいけません。漠然と『がん』とだけ捉えてしまうと、治すに治せないのです。

ピアノ教室に話を戻すと、「ピアノの人口が減った」と広く捉えてはダメで、何が売れていないのかを細かく明らかにする必要があるということです。そして、それをみんなで共有していく必要があります。

僕の周りにいる「ピアノはやっているけど、習ってはいない」という社会人の方に話を伺ってみると、「今はインターネットと教材ソフト、とYouTubeがあれば、必要な情報はすべて得られるし、わざわざ時間を使って習いに行くことは考えていない」ということ。

つまり、ここからわかるのは、不況と言ってもレッスンそのものが売れていないわけではなく、今は『情報』が売れていないのです。なぜなら、情報はネットで取り込めてしまうからです。

このように、現在は『情報の価値』がぐんと下がっています。なので、レッスンを売ったり提供したりする人間は、情報を売るのではなく、レッスンの中に存在する『情報以外の機能』を売らなければいけません。

例えば僕のレッスンの場合、生徒さんは『コミュニケーションツール』として、レッスンを買っていたりもします。

諸江とのコミュニケーションだったり、諸江の持つコミュニティに参加することで、他の生徒さんとの交流もできたりなど。

もちろんレッスンなので『必要な情報』も売っていましたが、それと同時に『コミュニケーションツール』も売っていたということです。

僕たちは『不況』と言われる現象と向き合う時、ここと向き合うべきなのです。「そもそも、何が売れなくなったのか?」、そして「それに含まれている別の機能、別の意味は何なのか?」ということを考えなければいけません。

ここでいう『別の意味』とは、僕の例で言えば『コミュニケーションツール』としての意味です。これを明らかにすることで、それぞれの売り方が見えてきます。

もう一度みなさんも「そもそも何が売れなくなったのか?」ということを考えてみてください。

レッスンの場合だと、『情報』が売れなくなりました。では、それに含まれている別の機能、別の意味は何なのか?

ちなみに、僕の場合は『コミュニケーションツール』でしたが、同じレッスンであってもその提供者によっては違う意味が存在する可能性もある。

それを知るためには、原因の精度を上げることが非常に重要です。絶対にやってはいけないことは、売り上げが下がったという現象を『不況』という漠然とした大きなくくりで捉えてしまうことです。

例えるならそれは、あらゆる部分のがんを『がん』とだけ、ひとまとめにくくるようなことです。そういう風に捉えてしまうと原因が分からず、対策がとれなくなってしまいます。くれぐれも、原因の精度を上げておくことが非常に重要だということです。

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