【諸江史耶】プロの目線に共通すること

毎日、いろんな方とお仕事をさせていただくのですが、「この人、プロだなぁ」と思う瞬間がいくつかありまして…そのうちの一つに「自分の能力と役割を見極めている」があります。

チームプレーになった場合!プロは出るべきポイントで出て、控えるべきポイントで控える。

とりわけ、「今回は、取り扱う素材に対して、自分の能力をどこまで出せばいいか?」という答えを探るのが本当に上手なんです。

自分もこの例に倣って、自分で前に出ていく時と、場合によっては手を叩いて笑っているだけの時を出し入れするようにしています。

その瞬間その瞬間で、その場の主役になっている人が必ずいて、その場合はその人に花を持たせたほうが絶対に良い。

「仕事をする」とは、そういうことだと思います。

決して「いついかなる時も自我を出す」ということではない。

出る時は出て、引くときは引く。

この「塩梅」ですね。

そして、「引く」ということは、このターンではシュートは打てないわけですから、「今回はどうぞ」と譲れるだけの余裕を持っておかなくちゃいけない。

つまり、他で圧倒的な結果を出しておかなくちゃいけない。

他で結果を出せるから、引くべきポイントで引ける。

これ、普段から結果を出していない人だと、「ここで爪痕を残さねば!」というモードに入っちゃって、せっかくゴール前の良い場所に仲間がポジションを取れているのに、パスを出さずに、一人でボールを持ち込んでしまうので、ここはかなり気をつけるようにしています。

現在僕は、フリージョイオリジナルソング「お月様からの贈り物」のMV(ミュージックビデオ)の制作を行っています。

この時に、いわゆるシーンごとに「何を全面に出すか」を考えるときにも、同じような頭の使い方をしていて「このシーンは、どんな画を見てもらった方が曲の魅力が伝わるだろうか」を常に考えるようにしています。

それ以来、例えば歌番組を見ていても、大人数のダンスグループのパフォーマンスを「どこから撮影するか」がすごく気になるようになって、「ここは正面からの固定カメラでいいのに!」と思うようになりました。

来年8月に上演予定の「ジョイライブ2025」の会場に、絵本のモニュメントを飾る予定なのですが、こちらも「誰が主役なのか」を常に考えて、サイズや色、配置場所を考えるようにしています。

クリエイティブにせよ、演出にせよ、そして人との交流にせよ、こういったところは大事なんだなあと思ったお話しでございました。

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