【諸江史耶】凄いなと思った生徒の話

今日は僕の生徒自慢をさせてください。

その生徒さんは20代後半の男性で、その年齢になるまでピアノにはほとんど触れてきておらず、僕のところに来たときも最初は「作曲のいろはを知りたい」という動機だったんです。

あとは、その生徒さん自身の持論で「作曲をするには、ピアノが弾けたほうがいい」というものがあるらしく、正直僕はこの現代、そうは思いませんでしたが、かたやピアノに対するやる気も感じたので、その道をサポートすることにしました。

最初はもちろん初心者なので、「ここがドだよ」「その横がレだよ」というところからのスタートだったのですが、彼の目の色が変わったのは、入校から1ヶ月後。

「年末に発表会のイベントあるけど、参加してみる?」という、僕の一言からでした。

僕がモロオフ会で主催している『発表会イベント』は、演奏する・しないの選択ができて、彼がピアノを始めたのは10月くらいのことだったので、12月の発表会には「観に来る」と思って誘ったんです。

ところが、彼は「出ます!」と迷わず答えて、その勢いとやる気になんだか僕も嬉しくなっちゃって、エントリーを受け付けたんです。

そこからの彼の成長ぶりは凄まじく、宣言通り発表会イベントにも出場して「え??これ本当に2ヶ月で仕上げたの?」と、みんなが腰を抜かすパフォーマンスを見せてくれました。

それでコミュニティの中で有名になったのも束の間、彼のすごいところはもう一つ、おじさんグループの飲み会に積極的に(下戸なのに)参加して、楽しそうに話を聞いてるんです。

これには居合わせた年上の生徒さん全員が感心してましたね。

こうした取り組みの甲斐あって、ある面白い出来事がありました。

実は彼は今海外におりまして、なんでも脱サラして新しい人生を歩んでいるみたいなのですが、それを聞きつけた別の生徒さんが「送迎会をしよう!」と持ち出しまして、

そこに、すごくたくさんの生徒さんが参加したんです。

これってすごいことだなあと思いましたね。

この生徒の代わりを、ロボットやAIができるわけがない。

この、自然と人が寄ってくる、人を惹きつける才能は、今の時代、本当に素晴らしい才能だと思います。

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